IFA 金融機関で働くのと何が違う?

資産運用を始める際に頼りになる、金融アドバイザーたち。証券会社や銀行の営業職、あるいはIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)など、さまざまな立場がありますが、具体的には何が違うのでしょうか。ここで解説します。
金融機関の営業職は正社員がほとんど
IFAの雇用形態は業務委託契約など幅広い
IFAと金融機関(銀行・証券会社など)の営業職では、雇用形態に大きな違いがあります。前者の場合、個人事業主として証券会社やIFA法人と業務委託契約を結んだり、IFA法人の正社員として働くことになりますが、金融機関の営業職は基本的に会社員。働き方や収入に大きな違いが生じます。
違い①:収入
業務委託契約型のIFAの報酬は完全歩合制。金融商品の仲介などで成果を上げると収入は増える一方ですが、良くない場合は減るので、収入は不安定と言えます。対して金融機関の営業職は会社員なので基本的に固定給です。販売実績なども影響しますが、一定の給与は約束されているので、安心感はあるでしょう。
なお、IFA法人の正社員の場合、その立場は会社員と変わりません。固定給になるケースが多く、大きく増えることはなくても、一定の収入は約束されます。
違い②:働き方
会社員は就業時間や休日など、定められた就業規則に従い働くのがルールです。残業や休日出勤があると給与に補填され、福利厚生も受けられます。その内容は会社ごとで違っていても、ワークライフバランスを意識した働き方ができるわけです。
片や業務委託契約型のIFAは個人事業主ですから、労働時間や休日に縛りはありません。大雑把な言い方をすると、働きたいときに働き、休みたいときに休むことができます。ただし、土日に顧客との面談が入れば休日を返上しないといけませんし、夜にアポイントが舞い込むこともあるでしょう。収益のことを考えると断れない場合もあり、働き方は不規則になる恐れがあります。1人で法人を経営する場合、営業だけではなく経理などの事務作業も自分でこなす必要があり、業務負担も重くなりがちです。
また、不正防止を主な目的に、金融機関の営業職は定期的に転勤するのが一般的。同じ顧客と長期的な関係を作るのは難しいといわれています。対してIFAの場合、個人事業主であれば転勤とは無縁ですし、中小規模が多いとされるIFA法人も勤務地が大きく変わることはレアケースです。顧客と長期的に向き合い、時間をかけて資産運用のアドバイスができます。
違い③:経営方針・ノルマ
金融機関の営業職は組織に属する立場ですから、会社の経営・営業方針に従う必要があります。販売を強化したい商品があれば顧客にプッシュしないといけませんし、ノルマも課せられます。顧客のニーズより会社に都合を優先した提案をせざるを得ないこともあるようです。
対してIFAは、特定の金融機関に所属しないで、独立・中立的な立場であるのが特徴です。証券会社と業務委託契約を結んでいたとしても、これらの縛りは受けません。自身の方針、考えのもと、顧客とコミュニケーションを図ることができます。これは顧客側からも期待されている役割なので、むしろ「中立性」「顧客のニーズに沿った提案」を前面に押し出した営業こそ、信頼されるIFAの必須要素かもしれません。
違い④:取扱商品

参照:IFAナビ「I【取り扱い商品(投資信託)で比較】IFAは本数が多く、提案が中立的」
証券会社に比べると銀行が扱う金融商品の数は少なく、提案の幅や顧客の選択肢は限られます。ただし、証券会社も対面での取引がメインの老舗や大手、地方証券会社の場合、グループ会社の投資信託が多いなど、取扱商品に偏りが見られることも。最もラインナップが豊富なのは、ネット証券となります。ただし、ネット証券は基本的に個別相談を受け付けていないので、きめ細かなサポートや提案などを必要とする場合は、対面証券を選ぶ方が良いでしょう。
IFAの取扱商品数は提携する証券会社によって異なります。それこそ、ネット証券だと3,000本近い投資信託を扱っているので、IFAの提案の幅も広がります。複数の証券会社に登録しているIFAだと、さらに綿密な提案を期待することができます。
違い⑤:相談・サポート

参照;IFAナビ「【アドバイス・サポートで比較】IFAは銀行・証券の相談範囲をカバー」
金融機関では金融商品の購入時や求められたタイミングで、アドバイスやサポートを提供します。ただし、その内容は取扱商品の範囲内に限られるようです。また、証券会社ならまとまった資金の活用法、銀行なら預貯金の活用なども踏まえるなど、得意とするアドバイスにも違いが見られます。なお、基本的に相談料はかかりません。
IFAも顧客から求められたタイミングや金融商品にアドバイスをしますが、購入後も定期的にフォローアップ・アドバイスするのが特徴です。金融商品を売って終わりではなく、その後の関係も重視しています。また、アドバスの内容は取扱商品だけに限らず、ライフプランやマネープラン全般、株式や投資信託以外にも不動産や保険など、総合的な相談に応えるIFAもいます。相談料はIFAによって異なり、無料のところもあれば有料のところもあります。
このように、IFAと金融機関の営業職では、収入や働き方、業務内容は大きく異なります。双方にメリット・デメリットがあるので、金融アドバイザーとして活躍したいなら、どちらが自身のスタンスに合っているか見極め、絞り込んでいきましょう。